IWGPシリーズの完結編です。(終わり方を見ると、第2部へと続く含みもありましたが)

タカシの素の部分=恋愛に関する姿が織り込まれていたのには驚きました。

クールなキングがデレる時もあるのね(笑)

題材はいつもの通りホットなものでしたが、初期の作品に描かれていた荒らぶった男臭い話も、また読みたいと感じました。

箱根駅伝

2012年9月10日 読書
箱根駅伝が多角的に分析されていて、かつ読んでいて楽しく、次の箱根への期待が高まる内容でした。
島本作品は痛い恋ばかり出てきますが、おそらく私は経験しないであろう状況を追体験出来るのは、彼女の本を読む楽しみのひとつです。

好きだけど一緒にいられない、好きだから試したい、一番好きな人ではないのに一緒にいると落ち着く…人間の揺れ動く様が克明に描かれていました。

鋭い言葉、上手い比喩もたくさん登場しましたが、イマイチ心に残らなかったのが残念でした。
中学受験界において、関西の男子御三家にとどまらず日本全国にその名を響かせている灘中学校・高等学校で、中学3年間の国語の授業を「銀の匙」という小説のみで行ってきた橋本武先生の教育の軌跡が綴られています。

灘の教育方針、そして橋本先生の教育方針が見事に合致して生まれた授業は、まさに今の日本人に足りないとされている力…自分で考える力、知っている事を応用させる力を伸ばすものでした。

途中で本の読み方の解説などが入っているので、橋本先生の授業を受けたかったな~と思った私も、今からでも上記の力を身につける事が出来そうです。

容疑者Xの献身

2012年8月25日 読書
最後の数ページで起きるどんでん返し。

と同時に、ここまで人を愛し、守りたいと思う事が出来るだろうかという感動…と言うには悲しみの方が大きい感情が襲ってきました。

友人に譲歩しつつも最後は仕事を選択すると忠告する草薙、愛するがために愛する人の幸せを自分以外の人間に託した石神、友人の鉄壁のトリックを崩し苦悩する湯川…三者の交錯する心情も切なさを呼び起こしました。

読んでスカッとしたり愉快になりはしませんが、普段は勘など当てにしない湯川が、多少の人間らしさをみせていた作品でした。
タイトルにもあるように、弱さをいとおしむ、ダメな自分も好きでいられるようになる、という事が親や教員に求める行動だと記されていました。

これは以前から私も「こうありたい」と考えていた姿です。

ただ、「受容」という行動は一方的であるとの記述があり、これには考えさせられました。

受容はいらないというのではなく、受容の先につながる援助までもきちんと行わなければならない、との考えに至りましたが、ある意味私の教育観に風穴が空いたようでした。

予知夢

2012年2月5日 読書
「探偵ガリレオ」とは違い、犯人やその周囲の人間の末路がはっきりしない・あえて示されていない作品がありました。

ちょっとモヤモヤしましたが、結末としては神秘的だと思いました。
ドラマのスカした湯川、というより福山雅治にひかれた人は多いでしょう。

しかし解説を読み、湯川のモデルが福山ではない、しかしみんなが知っているあの人だと分かり、それはそれで納得しました。

さて内容はというと、物理学という私にとってはとっつきにくい視点から事件を解決する湯川は、単純にかっこいいです。

しかし疑問に感じた事をうやむやにはせず、物事の原因・根本を追求しながら刑事の草薙に知恵を貸す様子は、人間が学び続ける上での理想の姿であり、このように探究心や好奇心が強い人物が学者になるのだろうと感じました。
≪蟹工船≫

貧しい者はどんなに働いても貧困から抜け出せず、富める者は働かずともどんどん豊かになっていく。

現代にも投影出来る作品と聞いて読んでみましたが、蟹工船のような過酷な労働現場は、今もあるのでしょうか。

そして働く中で感じた不平等を、形に出して改善しようとする行動力はあるのでしょうか。

私が実情を知らないだけ、という可能性は大いにあります。

しかしこの物語から感じた熱っぽさは、私を含めた現代の労働者達からは感じられないものだと考えました。

ノルウェイの森

2012年1月13日 読書
人を愛するとは、どういう事なのでしょう。

主人公は多くの女性を色々な形で愛し、また女性達もそんな彼を受け入れていますが、実際自分の身近にこんな人物がいたら、要注意人物と認定するでしょう。

また主人公は一方で、その愛が永遠でない事を知っているようでした。

この作品は「愛」よりは「生と死」を語っていると思われますが、私は愛の方に意識が向いてしまいました。
誌上講義というなかなか斬新なスタイルをとっています。

話し上手・聞き上手になる心得というか、標語のようなものが列記されている訳ではありません。

実践する事、体で覚える事が近道であるため、講義形式の本を書かれたのでしょう。

私は口べたなため話し上手になりたいと思っていましたが、最近は得意と自負していた「聞く」事も危ういかもしれないと感じ始めていました。

片方だけが上手という事はないと薄々感じていましたが、この本を読んでそれを確信しました。

私は聞き上手ではなく、ただ相手の話を黙って聞いていただけでした。

真の話し上手・聞き上手になるべく、少しずつ内容を実践していきたいです。
中医学と漢方の違いを初めて知りました。

漢方って日本の学問なのか…。

何が何でも漢方や東洋医学!というスタンスではなく、西洋医学の良いところも取り入れる、またありのままを受け入れ現状を甘受する、という事が推奨されていました。

私の生き方は、物事の考え方はすでに漢方的であったようなので、食べ物の摂り方に関してもそれを実践して、より良い生活を送りたいと思いました。

星の王子さま

2011年10月12日 読書
訳者あとがきには「童話を超えた童話」「子供とおとなが、肩を並べて同じ息づかいをしながら読むべき特殊な物語」とありました。

案外さらりと読めてしまい拍子抜けしたのは事実ですが、哲学的に考えすぎたり、何かを得ようと必死になったりするよりは、読んだその時に感じた印象を大切にして、読み返すたびにその印象を追加していく読み方が合う本だと思いました。

ある意味とても子どもらしい性格の王子さまですが、時に駆け引きをしているかのような感情の表し方をします。

子どもだけれど一人で生きてきた、別れの寂しさを知っている、という経験から出てきた様子だと思いますが、いじらしいという言葉がぴったりだと感じました。
多田と行天を取り巻く何人かの視点が織り交ぜられた、今回の巻。

前と何も変わっていないように見えて、歳を1歳とったり、同窓会に参加してみたりと、確実に彼らは変化していました。

平凡な日常だと思っても、「何ひとつ変わらない」という事はないのだと感じました。

世渡り作法術

2011年10月1日 読書
酒井さんが10年以上前に書かれた作品です。

『あと三年、いや一年も経てば、この本に書いた「マナー」は古くさいものとなっているかもしれません。』とありましたが、確かに今も変わらぬものと変化したものが混在していました。

しかしいつの時代も、思いやりを忘れない事が一番だと感じました。

…ときれいにまとめていますが、酒井さんのちょっとババ臭くてサッパリとした文体に、今回もクスリとさせられました。
旅が終わりに近づくにつれて、盛り上がりをみせるよりも安定感が漂い、読み進めるワクワク感というものは少なくなりました。

しかし実際に旅をしている沢木さんと同じ心の動きであったようにも思います。

この巻では特に、ポルトガルのサグレスでの日々が印象に残りました。

そして最後の最後にそう来たか!
物価の上昇や気候の落ち着き加減から、旅の地がヨーロッパに入り、そしてそれにより旅自体が終わりに近付いている事を実感しました。

また巻末の対談で、2巻(「深夜特急」は発売当初は3巻構成。後に6巻構成で文庫化。)から年数が空いて最終巻の3巻が発売されたと知り、言われてみれば今までよりも沢木さんの心情描写が多く、書き方が少し違うと感じました。

まぁ、言われなければ分からなかったと思いますが(笑)
今日のパキスタン・アフガニスタン・イランといったら、タリバンやビンラディン、核兵器といった単語が先に出てきてしまいますが、沢木さんが訪れた当時はそのような中東の影よりも、光の部分の方が大きかったのでしょう。

その地域に観光に行け、と今言われたらビビってしまうけれど、喜んで行く事が出来る気概を持ちたいものです。
「何もかも忘れてインドへ」とか「インドに行けば何かが変わる」という言葉をたまに耳にしますが、目的や何かを成したいというはっきりした気持ちがなければ、何日も滞在するのが難しい土地かもしれないと感じました。

過酷な気候しかり、国民性しかり。

しかし沢木さんが病気になった様子はこの巻で初めて描かれているので、何て健康なんだと驚きました。
「多分、私は回避したかったのだ。決定的な局面に立たされ、選択することで、何かが固定してしまうことを恐れたのだ。逃げた、といってもいい。ライターとしてのプロの道を選ぶことも、まったく異なる道を見つけることもせず、宙ぶらりんのままにしておきたかったのだ……。」

この言葉、そっくり私の状況に置き換える事が出来そうです。

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