卵の緒

2010年7月6日 読書
<卵の緒>
世間的に見たら不思議で仕方ない成り立ちですが、とても幸せな家族の様子が描かれています。

違和感を違和感として認めさせない、何となく流してしまうようにさせる書き方が、上手いと思いました。


<7’s blood>
愛人の子である七生が、まだ小学生であるにもかかわらず生きるためにみんなに愛想をふりまき、しかし決して良い子を演じているようには思えない…という微妙な状態の描き方が絶妙です。

最後の2人の別れのシーンも、最初は驚きましたが、キスをただ「好きな人と行うもの」だと思っている七生の子どもらしさに合わせた愛情表現を、七子がしたのだと考えると自然な行動だと思いました。
島本作品の登場人物は、一癖あるけれど、その感情や考え方が全く理解出来ないという人はいませんでした。

真綿荘住人のほとんどもそうなのですが、大家さんとその内縁の夫の関係だけは、良く分かりませんでした。

元々好意があったから受け入れたのか?

それにしても、束縛してくれるのが彼だけだったからって、どんだけMなんだ…。

主人公(と思われる)の大和君が都会や人にもまれて成長し、自分のKYさに気付きつつもその天真爛漫さで周りを和ませる様子は、前述との対比でとても爽やかでした。

食堂かたつむり

2010年6月30日 読書
食材や料理の香りが漂ってきそうなほど臨場感があふれる描写、そして登場する料理の多さは圧巻です。

基本はほのぼのした雰囲気ですが、ところどころでびっくりするほど心の奥深くを鋭く切り取った表現があり、何だかドキドキしました。

儒教と負け犬

2010年6月28日 読書
本を書く人は、それなりの才能はもちろんだけれど、独特の感性や着眼点があるのだと思います。

結婚に儒教思想が関係しているなんて、それこそ韓国だけの話じゃないかと思っていましたが、酒井さんの分かりやすい文章を読み進めるほどに、なるほどと思う事がたくさんありました。

未婚者既婚者それぞれの座談会だけでなく、有意差が出るくらい人数を集めたアンケートの考察もあり、リアルな声が聞けて面白かったし、韓国・中国の女性から学ぶ点や日本女性の傾向について知る事が出来て、ちょっと得した気分になりました。
物事をポジティブに考え、しかし行き当たりばったりではなく勉強や反省をしっかり行う。

私がこうありたいと思っている人が、彼女だと初めて知りました。

読み進めるうちに、「どうせ○○だし」「●●はいつでも出来る」と考えていた事柄に、すぐに手をつけたくなりました。

元気と、一歩踏み出す力をもらえる本です。
ほぼ本名で作家活動を行っている現役教師の、学校にかかわる諸々を綴ったエッセイです。

とにかく瀬尾さんの文章には癒されます。

本の装丁や字体も引っくるめて、彼女の本を読んでいると何だか安心します。

田舎の中学校での日常は、僻地スキーとしては「おっ!」と思うし、教師としての生徒への思いは、大体全国共通だなとも感じました。

幸福な食卓

2010年5月26日 読書
ほのぼの、でも悲しい。

不思議な雰囲気にやられました。

現役教師だけあって、学校の様子が特にリアルに描かれていると感じました。

夢を与える

2010年5月22日 読書
綿矢さんの芥川賞受賞後第一作です。

チャイルドモデル出身の夕子のブレイク、そして転落が描かれていますが、最初は天性のかわいさがにじみ出ている夕子がどんどん変わっていく姿の描写が怖いほどでした。

またタイトルにもなっている「夢を与える」という言葉の考え方については、そこまで深読みした事がなかったので、単純に「作家ってすごいな」と思いました。
読んでいる最中、しきりに「もう分かっているよ~、そんな事!」と思いました。

しかし『あたりまえのことを理屈で解っていたとしても、そのあたりまえのことを忘れている人がなんて多いのか』という言葉にハッとしました。

頭では確かに分かっています。

でも私はそれを実行できているのか?

これからは実行しなければ。
内容はありふれたものでしたが、イラストと文体が柔らかいタッチだったので、読んでいるだけで不思議とリラックス出来ました。
おえらいさんの子息が依頼人、というのが増えてきた気がします。

まぁストーリー自体は相変わらず面白いので、読んでいる途中で気にならなくなりますが。

日傘のお兄さん

2010年1月15日 読書
4つの物語から成る短編集です。

タイトルにもなった「日傘のお兄さん」では、自分が一番寂しかった時期にいつもそばにいてくれたお兄さんを、彼が世間から何と言われようとも想い続ける主人公が登場します。

理屈では語れない愛情、また無償の愛の力がパワフルに描かれていると感じました。

派遣ちゃん

2010年1月12日 読書
もののずばり、派遣社員が主人公の物語です。

同じ非正規雇用の枠組みの中にいる者として、「不安定な状況から抜け出したい、でも正社員への道のりは厳しい、そしてたまに労働を放棄したくなる…」という何とも言えない心情に共感しました。

それと同時に、もう少しふんばってみないとな~と、自分の労働への姿勢の在り方についても考えさせられました。
かなり実践的な内容でしたが、パーソナルカラーの見つけ方は本に色見本を載せるなどして、分かりやすくしてほしかったです。

個人的には、「長距離通勤でも出来る!」とか「やむをえない残業続きの人でも出来る!」みたいな本があればぜひ読みたいです。

…自分で書かない限りなさそうですが。

みんなのなやみ

2010年1月6日 読書
きれいごとでも、言い続けなければならないこと。

それがあることに気付きました。

例えば、命や体に関することなどです。

生徒にきちんと伝えたいと思いました。
千里の道も一歩から。

考え方が変わるのに時間はかかるかもしれませんが、紹介されていた事柄を「楽しく生きる」ために実践したいです。

ちなみに著者は上大岡トメさん。

ばあさんみたいな名前ですが、調べたら普通に美人な2児の母でした。
以前購入したオズマガジンにコメントを出していた人なので期待して読み始めました。

しかし、自身の経験からか英語重視(というか、出来ないとダメ的な書き方)であったり、しない方がよいと書いた事柄を次の章では実行しろと書いたり、一貫性がないなぁと思いました。

文章力がない訳ではないので、残念でした。
女子校出身の自分は、大いに「あるある!」と共感するところが多かった。

大人になった今はむしろ、群れずに、しかし悪目立ちせずにいたいと思うが、それはそれで難しい。

結局大切になってくるのは「しなやかさ」ではないかと考えさせられた。
最近はビジネス書を読むのが楽しくなってきました。

朝日新聞の土曜版でその存在を知った藤巻兄弟の弟さんの著書です。

簡潔に書かれていて、更に自分でも出来る事が多かったです。

つまり、「分かっているけどやっていない」という事柄が多かったという事。

息抜きも必要だけれど、基本仕事で気を抜いてはならないと考えさせられました。
臨床心理士が中学生に向けて書いた本なので、読み終えるのに時間はかかりませんでした。

実際の中学生時代に読んだら、どんな感想をもったでしょうか。

教諭視点で読んだので、中高生の生意気なような、哲学的なような問いかけにはこう返せば良いのか…と、非常に勉強になりました。

本当は自分で考えなければならない事ですが、まずは他の人の良い意見をマネして、段々と自分の色をつけていけば良いかな…と思っている社会人2年目の冬。

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